遺品整理の時期やタイミング
大切な家族が亡くなった場合、遺された家族は故人が生前使用していた遺品を整理する必要があります。
とはいえ、遺族は遠方に住んでいるから何度も足を運べない、遺族だけでは大量の遺品を整理・処分することが難しい、見つけた遺品の価値がわからないなどという理由で困ってしまうこともあるでしょう。
そんなときに頼りになるのが、遺品整理業者です。
今回は、遺品整理業者の利用を検討している方に向けて、良い遺品整理業者の選び方や、業者を選ぶポイントやコツ、悪徳業者の見分け方などについて解説します。
遺品整理業者を利用する時の「流れ」も学べるので、満足のいく遺品整理へとつながります。
1.遺品整理業者とは?
遺品整理業者とは、故人が使用していた現金預金や不動産などの財産を除いたもの(遺品)の整理を手伝ってくれる業者です。
実は、遺品整理業者は昔から存在しておらず、まだ20年程の歴史しかありません。
ですが現在は、テレビやSNSなどの多くのメディアによって世間に周知されるようになったため、日本全国にたくさんの遺品整理業者が存在します。
遺品整理業者は、単に家財を撤去処分する残置物撤去業者とは異なります。
遺品の中には、通帳や不動産権利証、印鑑など、相続手続きに必要なものが眠っている可能性があり、普通の残置物撤去業者へ頼んでしまうと、相続手続きに必要なものかどうかの判断がつきません。
貴重品も一緒に処分されてしまう危険があるため注意してください。
そうなるのを防ぐためにも、専門とする遺品整理業者へ依頼をするようにしましょう。
遺品整理業者に頼むことで、大切なものが出てきた場合にはきちんと別にして取っておいてくれます。また、事前に捨てないでほしいものをリスト化して作業スタッフに伝えておけば、処分せずに残してくれます。
2.遺品整理業者のサービス内容
ここでは、遺品整理業者が提供しているサービス内容について紹介します。
実際のところサービス内容は多数あり、日々ラインナップも増えています。
業者によっては取り扱いしているサービス・取り扱っていないサービスもあるので、
一概にはいえませんが、代表的なサービス6つを紹介します。
①「遺品の買取サービス」
遺品整理で特に大変なのは、大量に出てきた不用品の処分ではないでしょうか。
遺品整理業者の多くは、遺品の中で再利用できるものがあれば査定、買取サービスをしています。
査定士や鑑定士と提携していることがあるため、自分だけでは価値が分からないという品でもプロがしっかりと査定し、高額買取してくれます。
そして買取サービスを依頼すれば、遺品整理の作業料から買取価格をそのまま値引きしてくれるので、通常かかるはずの費用がかなり安く抑えられた。なんてことにも繋がります。
②「ハウスクリーニングサービス」
遺品整理後に、家族の誰かに相続させたり、不動産への売却予定がある場合はハウスクリーニングで清掃を行った方が良いでしょう。
遺品整理業者の中には、遺品整理後にハウスクリーニングサービスを提供している業者もあります。
掃除機や高圧洗浄機などを使って、長年日常的に使われていた台所やトイレ、浴室などを含めて部屋全体をキレイな状態に仕上げてくれます。
③「解体工事サービス」
お亡くなりになった家族や親族の家に今後誰も住む予定がない場合は、解体工事も一つの手段です。
誰も住まない家を放置してしまうと、家がどんどん老朽化し、お庭が荒れ放題になってしまい、近隣に迷惑がかかってしまいます。
また、適切な手入れをされずに放置された空き家については、行政からの指導が入る恐れがあります。
そのような状況にならないためにも、遺品整理と合わせて解体工事サービスを依頼しましょう。
④「遺品の供養とお焚き上げ」
遺品の中には、そのまま捨てるには気が引けるという品物がいくつか出てくるでしょう。
このような場合、ご希望がある品すべてを寺院や神社にて供養してくれます。
遺品整理業者によっては、合同供養や個別供養、現地供養など宗派にあわせて供養する場合もあります。
⑤「自動車処分サービス」
通常、故人が乗っていた車やバイクを相続または廃車にする場合は、所定の手続きを行う必要があります。
処分サービスを利用すれば、その面倒な手続きを遺品整理業者が代わりに行ってくれるので、とても便利なサービスです。
少しでも負担を減らしたい方などは、自動車処分サービスを依頼することをおすすめします。
⑥「貴重品の捜索」
部屋の中を探索すれば、埋もれてしまった重要書類をはじめ遺言書、土地や家屋の権利書、銀行通帳などの貴重品が紛れているケースも少なくありません。
遺品整理業者は不用品回収業者とは違い、このような貴重品が不用品に紛れていないかどうか慎重に探索しながら、一つ一つ丁寧に確認しながら仕分けます。
遺品整理サービスを提供していない不用品回収業者などに依頼すると、このような貴重品も一緒に処分されてしまうリスクがあります。
万が一捨てられてしまったら取り返しのつかないことになってしまいますので、安心して任せられる遺品に詳しい専門の「遺品整理業者」に依頼しましょう。
3.遺品整理業者の選び方5つ
遺品整理業者への依頼は生涯の中でもそんなに多くはありません。
そのため、いざという時に「どのように」「何をを基準に」選べばいいのか分かりませんよね。
ここでは、具体的に遺品整理業者を選ぶ時の方法やポイントを5つに分けてご紹介します。
5つのポイントを把握することで、あなたの状況に合った適切な業者選びができます。
そうすることで、迷うことなく安心して業者に依頼することができますよ。
①遺品整理士が在籍している業者を選ぶ
遺品整理士とは、 一般財団法人遺品整理士認定協会が認定する資格で、試験に合格した人だけが持つことのできる日本独自の民間資格です。
遺品整理士は2011年につくられた比較的新しい資格で、急速な高齢化の進展と、核家族化による社会構造の変容によって生まれました。
現在では徐々に人気を高め、年々資格取得者数が増加しています。
一方、弁護士や税理士のように法律で規定された国家資格ではありませんので、有資格者でなければ遺品整理事業に携わることができないというわけではありません。
遺品整理業者の中には遺品整理士という資格認定を受けた者と、そうでない者がおりますので、見極めが必要になります。
必須の資格ではありませんが、遺品整理業者を選ぶ際は、やはり資格保有者が在籍している業者の方が、遺品整理にまつわるあらゆる知識や高い技術を身に付けているため、信頼できます。
また、残された遺族の方の気持ちにも寄り添えるような姿勢も身につけているので、全く資格を持っていない業者と比べると安心して任せられるでしょう。
②必要な許可を取得しているか確認する
一般家庭から出る不用品は「一般廃棄物」として処理する「一般廃棄物収集運搬許可証」が必要になりますが、一般廃棄物収集運搬業許可は取得が難しいため、持っていない遺品整理事業者は、この許可証を持った業者と連携する必要があります。
その他にも求められる許可や届出があります。
代表的なものだと、遺品などの家財の買取に必要な「古物商許可」、家財などを運送する場合に必要な「一般貨物自動車運送事業許可」※有料で運送する場合のみ
許可証を取得していない業者が遺品整理後に不用品を処分した場合は、不法投棄される恐れがあるため、依頼前に許可がおりているのか確認しましょう。
万が一、業者が適切に不用品を処分しなければ、消費者側も罪に問われる可能性があるので、注意が必要です。
自分の身を守るためにも、業者を探す際にはこの許可証を持っているかどうかを確認することが重要です。
③複数業者で見積もりを取る
見積もりは、1つの業者だけではなく、複数の業者から取るようにしましょう。
業者によって基本料金、遺品整理費用、家財処分費用、その他サービス料金などが異なります。
複数業者から見積もりを取ることで「予算に合う業者か」「不要なサービスやオプションが付いていないか」「適正価格になっているか」を比較・判断できるようになります。
しかし、見積もりが多すぎてもただ迷ってしまい、なかなか決断できません。
ですので、最低でも3社を目安に見積もりを依頼しましょう。
最近では直接業者に問い合わせなくても、「ランキングサイト」、「比較サイト」、一括同時見積もりに対応した「オンラインサイト」を利用する手段があります。
このような場合も、複数サイトを見て判断することをおすすめします。
④見積もり書の記載が明確になっているか
一般的に遺品整理業者を利用する場合には、人件費・車両費が含まれた「基本料金」、仕分け・梱包・撤去費などの「遺品整理費用」、「その他オプション費用」の3つの費用が必要になります。
遺品整理業者に見積もりを依頼すると、作業内容や料金などの内訳を記載してくれます。
ここで重要なのが、「作業一式」「その他作業費」などと曖昧な記載がある場合は依頼前にきちんと確認しておきましょう。
作業内容が具体的に記載されていなかったり、見積書を渡してくれない業者は、後々追加料金が発生する場合があるので注意が必要です。
また、その他に疑問や質問などがあれば、全て遺品整理業者に依頼前に相談しておきましょう。
⑤地域や地元に密着した業者
遺品整理業者を選ぶ際に、サービスエリア外の業者に依頼してしまうと、別途多額の出張費がかかる可能性がありますが、依頼する現場にできるだけ近い地域や地元に密着した業者を選ぶことで、交通費や人件費を抑えて節約することができます。
また、地域や地元に密着した業者は、現場との距離が近いため、気軽に相談できますし、スピーディーに対応してもらえます。
さらに、業者によっては実際に家の状況を見る「訪問見積もり」を取ってくれるところがあります。
直接スタッフとやり取りをすることで、サービス内容や費用が把握でき、サービス内容の変更や訂正があってもすぐに対応してくれます。
電話やインターネットでは確認できないスタッフの表情や所作までも直接見れるので、より信頼でき、安心して任せられるでしょう。
4.良い遺品整理業者を選ぶための3つのポイント
遺品整理を気持ちよく終えるために、良い遺品整理業者を選ぶための3つのポイントをご紹介します。
①スタッフの対応が丁寧かどうか
きちんとした業者かどうかを見極めるには、スタッフの対応を見ることです。
作業をしてもらうスタッフの態度が傲慢だったりいい加減だと当然、いい気持ちにはなりません。
そこで確認すべきなのが、「電話対応」「口コミ」「SNS」の3つです。
気になった業者の見積もり相談は、基本的に電話で問い合わせましょう。
既にネットなどで見積もりを取った場合も、気になるところを質問してみて、自分が不快な気持ちにならないか、スタッフの言葉遣いは良いか、質問に対しての返答にがきちんとしているか、親切に対応してくれるかを確認してみましょう。
また、ホームページに記載されている業者の会社実績や口コミでの評判、スタッフの写真やコメントを見て、信頼できるかどうかを判断しましょう。
さらに最近では、TwitterやInstagramなどのSNSにも体験談や業者の評判が書かれている場合があります。
利用者の声をチェックすることで、客観的な業者の評価や評判を知ることができるでしょう。
「この業者なら安心して任せられる」「この業者にお願いしたい」と思える業者に出会うには、このような情報を知ることが重要なのです。
②見積もりが丁寧
良い遺品整理業者の見積もり書は、詳細が丁寧に記載されています。
詳細に書かれた見積もり書であれば、依頼者と業者との間でトラブルに発展することはほぼありません。
仮に、分かりづらい複雑な内訳だったとしても、質問すればきちんと返答してくれる業者も信用できます。
逆に、見積もりの内訳がよく分からず、質問しても答えてくれないような業者に依頼してしまうと、後々になって追加請求してくる可能性があるため、選ばないほうがいいでしょう。
③豊富な作業実績
実績のある良い遺品整理業者は、遺品整理士の資格を保有しているスタッフが在籍しているところがほとんどです。
遺品整理の専門的な知識や技術力が高いため、作業に迷いなくスムーズに対応してくれます。
また、故人や遺族の気持ちに配慮した行動や、遺品を処分品や不用品と扱わず丁寧に扱ってくれたりと、故人や遺族などへの心遣いもあるスタッフばかりです。
このようにプロとしての実績を持っている業者に依頼すれば、気持ちよく遺品整理を終わらせることができますので、安心して任せられます。
5.悪徳業者に注意!遺品整理を依頼する際の注意点
残念ながら遺品整理業者の中には、良い業者だけでなく、悪徳業者も存在します。
近年では遺品整理の需要が増えており、業者の数も年々増加傾向にあります。
その中で悪質な業者を利用した人たちがトラブルに巻き込まれている例も数多くあるのです。
特に悪徳業者が行う行為としては、契約したのに当日作業が来ない、回収した遺品の不法投棄、遺品盗難、追加請求、高額なキャンセル料の請求、といったものです。
このようなトラブルを避けるためにも上記でご説明した、良い業者を選ぶためのポイントを抑えつつ、これからご紹介する依頼時の注意点を確認し、正しく決断・判断できるよう知識を付けることが重要です。
①業者をネットで検索する
まずは、依頼を検討している遺品整理業者をインターネットで検索してみましょう。
基本的に良い遺品整理業者であれば、自社の公式ホームページを持っており、所在地や電話番号などの会社情報、作業実績、作業内容、保有資格などが記載されています。
ですが悪質業者の場合、自社サイトを所有してない場合がほとんどです。
それどころか、評判の悪い口コミ情報がたくさん出てきます。
その業者の公式ホームページがあるか、口コミはどうかをインターネットで検索することで、悪質業者かどうかの1つの判断材料になりますので、依頼前に必ずチェックしておきましょう。
②見積もり料金が異常に安い
悪質な業者と依頼者との間で問題になる原因の1つに、お金の問題があります。
最初は相場よりも明らかに安い金額を依頼者に提示し、後々多額の追加料金を請求されるというトラブルが数多く上がっています。
こういったトラブルの原因の多くは、見積もりから金額が変更する点について業者と依頼者の間で認識の違いが発生してしまうからです。
そこで、もしも依頼したい遺品整理業者が決まったら、「追加料金が発生するのか」、「追加料金が発生するとしたらいくらになるのか」担当スタッフとしっかり相談しておくことをおすすめします。
また、変更点や修正点などがある場合は、その都度最新の見積もり書を出してもらい、常に正確な金額を把握できるようにしておきましょう。
③高額なキャンセル料の請求
理屈に合わない高額なキャンセル料を悪徳業者から請求されることがあります。
通常は契約から8日間が特定商取引法のクーリングオフ対象期間ですので、違約金を取られることなくキャンセルできますが、こういったトラブル件数は数多く上がっています。
トラブルに巻き込まれないためにも、契約する前に実施日からどれくらいの日数でキャンセル料が発生するのか、キャンセル料はいくらなのかをしっかりと確認しておきましょう。
6.まとめ
生涯の中でもあまり経験することのない遺品整理。
遺品整理業者によって、取り扱っているサービス内容などが異なるため、かかる費用も業者によって違います。
遺品整理で後悔しないようにするためにも、ある程度遺品整理の知識を付けておくことが重要です。
また、業者が決まって見積もり書をもらった時に、少しでも疑問や質問などがある場合は、必ず契約前に担当スタッフに確認、相談しておきましょう。
そうすることで、悪徳業者とのトラブルを回避でき、優良な遺品整理業者に巡り合うことができるかもしれません。